【2024年は世界経済が大きく変わる年になる】
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ウクライナの紛争へロシアが軍事介入を始めてから、グローバルサウスの国々は、西側諸国の政治家にあからさまにそっけない対応をしている。今回のプーチン訪問は、それとはまったく正反対だ。イスラエルとパレスチナの紛争のことで、サウジアラビアを訪問したアメリカ外相ブリンケンは、サウジアラビア首相のサルマン王子に、一晩中待ちぼうけを食わされた。ドイツ大統領シュタインマイヤーは、カタールを訪問したとき、空港で出迎えがなく、半時間も飛行機の出口で待たされていた。インドで行われたG20では、次々と空港に降り立つ各国の首脳たちが出迎えを受けているのに、ドイツ外相が降り立ったときには、誰も出迎えがなく、ドイツ大使がかろうじてギリギリで出迎えたばかりだった。こうしたことは、偶然などではない。グローバルサウスは、もう西側諸国を相手にしてはいないのだ。
アメリカ中心の一極支配はもう崩壊して、多極化の世界が生まれたということを、昨年春から、ロシアは、繰り返し言ってきたけれど、今回のアラブ訪問は、世界経済が根本的に転換することを確実にしたようだ。アラブ首長国連邦、サウジアラビア、イランと、アラブ3ヶ国の首脳と矢継ぎ早に会談したあとで、8日に始まった経済フォーラム、「ロシアが呼んでいる!」でスピーチしたプーチン大統領は、グローバル経済のシステムが、不可逆的に根本的な変化を遂げたということを言っていた。これまでは、西側エリートが、他の国々を植民地として搾取していて、それがグローバル経済と呼ばれてきた。そして、西側エリートは、他の国々が成長しないように、制裁をかけたり、政治を混乱させたり、紛争を煽動したりしてきたのだ。第二次世界大戦後に、国連という民主的に国際紛争を解決する機関がありながら、戦争が止まなかったのは、まさにそのためだった。そのスピーチで、プーチン大統領は、そうしたことをはっきりと言っていた。
振り返れば、この一年は、世界の権力構造が根本的に多極化した年だった。3月に中国の習近平がモスクワでプーチンと会談し、これは100年来の大きな転換だと言っていた。あのあと、アメリカに敵対させられていたアラブの国々が、中国の仲介で次々と和解し、協力し始めた。8月のBRICSサミットでは、新たに6ヶ国が加盟することになって、BRICSが経済力でG7を追い越すことになった。ニジェールは、マリとブルキナファソに続いて、フランスの傀儡政権がクーデターで倒されたけれど、フランスは軍事介入もできないまま、駐留していた軍隊を撤退することになった。このことは、もはや西側諸国はアフリカを植民地支配できなくなっていることを示してしまった。